自転により回転していく惑星の画像を巻き戻して重ね合わせることができるWinJUPOSは高解像の画像作りにはとてもありがたいソフトです。惑星の衛星のデローテーションにはこれまで対応していなかったのでどうしても衛星はずれてしまいました。最近これができるようになったとのことで最新版のWinJUPOSに更新して試してみました。ダウンロードしたのはバージョン12.2.4で1月28日に更新されていました。
昨年9月13日に撮影した最高に近い気流条件の木星画像で試して見ました。
使い方はHelpページのDe-rotation of imagesに載っていて、そこにMasking radiusが衛星本体やその影よりも大きいこととあります。どうやってMasking radiusを設定するのかよくわからず、とりあえずいつものようにImage measurement - Adjustment of imageのoutline frame を決めました。なんとか衛星を囲む程度です。
「Masking radius、 勝手に輪郭線のようなものができると思っていたのですが、Helpの説明にはそこにある説明図についてこのような輪郭線の図ができるとは書かれておらず、説明のためだけの図のようです。そう理解したら問題は解決しました。outline frame とMaskinng radius の図がなにか関係があるのかと誤解していました。
ピクセル数を指定するのでイオの直径に対して5ピクセルがどの程度になるのか計算してみました。カメラ(ZWO ASI585MC)ピクセルサイズ:2.9μm、望遠鏡の合成焦点距離:14600mm、この値から1ピクセル当たりの角度は0.041秒角になります。イオの視直径を1.15秒角とするとイオの直径に対して5ピクセル(0.205秒角)は約18%です。説明図の感じだともう少し大きくして元の10ピクセルでもよさそうです。」(2月1日追記)
次にToolsのDe-rotation of imafesをこれまでと同様に設定しますがその際にOptionsを開いて以下のCorrection of the planetary moons and their shadowsにチェックを入れます。Masking radiusは当初「10」ピクセルと入っていましたがとりあえず「5」にしてみました。Optimaze image measurementsにはチェック入れて試してみましたが衛星がブレたのでチェックはいれていません。
衛星のデローテーションを行っていない画像
衛星のデローテーションを行った画像(7651枚の30%をスタック、 derotation 6 images)。
2022-09-13-1351_8 (UT) Seeing: 8-9/10 Trans:2/5 CM I 117.9° CM II 193.4° CM III 120.4°
610mm f4 Newtonian (Dobsonian) 5x Powermate ZWO ASI585MC ADC (with Baader UV/ IR cut filter) 9.9-ms, 60sec×6, 30%frames stack
衛星がしっかり止まってすばらしいです。Ioのほうはoutline frameをほぼ衛星を囲むようにできましたが、Callistoは画像によっては少しはみ出しました。特に問題なく画像処理できました。衛星の明るさは後から補正しています。
IoのWinJUPOSシミュレーション画像 Ioの拡大画像