星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

2025/07/10 土星

前夜は雲もあったのですが午前2時過ぎに起きると南西の空に満月近い月が残って風も無く晴れています。Windyの予想ではジェット気流は北に上がり気流は安定しているはずです。土星を24インチドブで眼視(5mm+ニコンEiC-16、780倍)観察、気流は細かなブレはありますがけっこう安定しています。カッシーニ間隙を見ることができました。眼視では衛星もいくつか見えますが、画像ではずいぶん暗くなってしまいます。

Saturn   2025-07-09 (yyyy-mm-dd), 18:35.2 UT  CM I 123.1° CM II 245.2° CM III  97.0°                                                                                              Seeing: 8/10   Trans:3/5  

24” f4 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI585MC   ADC  (with Baader UV/ IR cut filter)  20.2ms, 60sec x6 50%frames stack (derotation 6 images)  

土星本体右下の小さな白斑は衛星Tethysです。Firecapture使っての撮影で6月30日にはFPSが20程度だったのですが、事前に設定を確認して今回はROI=2000x1320で50程度になりました。ROIを小さくすればさらに上がるのですが赤道儀プラットホームの追尾のふらつきもあって難しいです。

 

その後画像を見てくれた友人から衛星Tethysが点像でなく伸びているのは衛星のデローテーションを忘れていませんかとのお話が合って、衛星のデローテーションかけてみたのですがやはり伸びてしまいました。AS!3を使っていますが、これまでAPサイズを主に72としてスタックしていました。最近APを一つ枠でも処理できるとのお話があり試しにマニュアルで一つ枠でスタックしてみました。原因はよくわからないのですが、これがうまくいったのか衛星がほぼ点像になりました。

Saturn   2025-07-09 (yyyy-mm-dd), 18:35.2 UT  

24” f4 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI585MC   ADC  (with Baader UV/ IR cut filter)  20.2ms, 60sec x6  60%frames stack (derotation 6 images)  

Tethysがほぼ点像になりました。データは先の画像と同じですが区別して作業のために動画の60%の画像をスタックしています。(7月12日追記)

2025/06/30 土星

今年は土星の環が地球に対して真横を向くために環が見えなくなったり、細くなるのですが、土星の合が3月12日ということもあってなかなか観察できませんでした。太陽に照らされた環を裏側から見られるのが5月7日までなので、それまでに見たかったのですが家のベランダからは見づらい位置だったのが残念です。梅雨明けも近くなり、気流も落ち着いてきたので24インチドブソニアンで明け方に土星を撮りました。

土星  2025-06-29 (yyyy-mm-dd), 18:58.2 UT  CM I 332.9° CM II  57.6° CM III 281.4°      Seeing: 8/10   Trans:2/5  

24” f4 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI585MC   ADC  (with Baader UV/ IR cut filter)  20.7ms, 60sec x6 50%frames stack (derotation 6 images)

土星本体に比べて環が暗く撮れていますが、眼視(490倍)で観察すると環は画像よりも明るく見えました。気流は落ち着いていましたが、薄雲が出ていました。なぜかカメラが不調でfpsが上がらず、いろいろと試しているうちに薄明が始まってしまいました。

小接近の火星

今回の火星の接近は地球への最接近が1月12日で視直径は14.6"です。最接近の頃は気流の悪い季節に重なり解像のよい画像をほとんど撮れなかったのが残念です。18インチ(457mm)ドブソニアンで撮りましたが多くは30cmの絞りを使いました。その後、視直径がどんどん小さくなり今日(5月26日)の視直径は5.7”です。次回の接近は2年後の2027年2月20日でその際の視直径は13.8"です。当分先ですが、夏の接近が待ちどうしいです。

 

今年に入ってからの画像を同じ尺度で並べてみました。

   2025-01-02-1413_4-U    01-14-1328_1-U     01-20-1328_9-U

   全て457mm口径で撮影

 

     01-22-1343_7-U    01-23-1210_3-U    02-10-1206_9-U

   1/22、1/23は、457mm口径で撮影      2/10は457mmに30cm絞り使用

 

  02-28-1146_8-U   03-20-1321_1-U  04-09-1239_2-U  05-14-1214_8-U

  2/28、3/20は、457mmに300mm絞り使用、4/9、5/14は457mm口径で撮影   

火星接近

1月12日に火星は地球に最接近、当日は撮影できませんでしたが、1月14日に18インチドブで撮影しました。それにしても冬の気流でボヤボヤです。その後何回か撮ったのですがジェット気流が上空を流れ寒波がきているこの時期なかなか良い気流には恵まれません。Φ30cmの絞りを取り付けてみたり、以前自作したアポダイジングマスクを付けてみたりしてみました。改善はそれほどみられませんがΦ30cm絞りは少し効果がありました。アポダイジングマスクは周縁の二重像改善に効果があるようにも感じますがもう少し気流の良い時期にまた試してみたいです。2月に入りどんどん火星が小さくなってくるのが残念です。

       

 2025-01-14-1328_1-U-RGB-Mars        2025-01-20-1328_9-U-RGB-Mars

     視直径14.6”                 視直径14.4”

 

       

 2025-01-22-1343_7-U-RGB-Mars        2025-01-23-1217_3-U-RGB-Mars

    視直径14.3”                  視直径14.3”

 

       

 2025-02-10-1206_9-U-RGB-Mars(Φ300mm絞り使用)、左縁の白雲が他の場合よりも明瞭に撮れました。視直径12.8”

 

  

2025-02-10-1217_4-U-RGB-Mars(Φ457mm全開口)

 

       

2025-02-10-1232_7-U-RGB-Mars(apodizing mask使用)

2025/01/02 土星、火星

明けましておめでとうございます。このところ晴れた日が続いています。冬型の気圧配置ですがWindyで見ると風が弱そうなので18インチドブを組み立てました。400倍で見ると土星の環のカシニ間隙は見えません。木星の縞は2本くらい、火星は北極冠が白く大シルチスが黒っぽく見えますが細かな模様はわかりません。2025年初の惑星撮影ですが気流が安定しておらずボケボケでした。

土星本体の上にかかる環の裏側が黒々と見えます。環に当たる太陽光の向きによるのでしょうか。

土星 2025-01-02 (yyyy-mm-dd), 09:45.1 UT  CM I 215.4° CM II 301.9° CM III  20.9°

18”(457mm) f4.5 Newtonian (Dobsonian)5x Powermate  ZWO ASI585MC (with Baader UV/ IR cut filter, ADC)     26.1 ms, 60sec x4, 50% frames stack  (derotation 4 images)

 

ボケボケの火星でしたが大シルチスと北極冠は撮れました。視直径は14.3"と1月12日の最接近に向けて大きくなってきました。

火星 2025-01-02 (yyyy-mm-dd), 14:13.4 UT  CM 287.2° Dia 14.3"

18”(457mm) f4.5 Newtonian (Dobsonian)5x Powermate  ZWO ASI585MC (with Baader UV/ IR cut filter, ADC)    10.5 ms, 60sec x4, 50% frames stack  (derotation 4 images) 

2024/12/08 土星食

12月8日の夜、土星食を見ました。上弦の月の北側の影の部分から潜入し明るい部分から出現しました。日が暮れて早い時間でしたが、潜入は時間を間違えてしまい撮れず、出現はなんとか撮れましたが、月面と土星の明るさが違うので土星に合わせると月面が真っ白になってしまいました。人間の眼はこうならないのはありがたいです。18インチ(有効径450mm  f4.5  fl 2040mm)ドブソニアンにテレビュー製3倍バーローレンズ、カメラはZWO ASI585MC   (with Baader UV/ IR cut filter)。北風があり動画はブルブルでした。こんなときは風の影響の少ないシュミカセや小さい望遠鏡のほうが有利です。下の画像は露出を変えた画像をフォトショップで合成しました。

                             2024-12-08-10_02_32_124UT

 

合成前の画像、 

  

  2024-12-08-10_02_32_124UT    2024-12-08-10_02_33_494UT

 

ニコンミュージアム見学

少し前になりますが11月26日にこの7月に品川から大井町に移転したニコンミュージアムと新本社を見学してきました。

ニコンミュージアムは本社の南側に面した入口から入ると地下一階に当たる場所にあります。カメラや顕微鏡、その他のものも数多く展示されていますが望遠鏡、双眼鏡関連を主に見てきました。

会社のマークの変遷、当初はNikon ではなくNikkoであった。双眼鏡ではそれ以前の「JOICO」があります。さらに「J.O.Co.」を見たことがありますが?です。

半導体製造装置で使われる合成石英の塊です。内部の検査のために側面を研磨してあるそうです。

奥には20cm天体望遠鏡の鏡筒があり土星の画像を覗くように展示されています。

日本光学工業株式会社(現在はニコン)は1917年(大正6年)に主に海軍の要請によって光学兵器を国産化するため、当時双眼鏡を国産化していた藤井レンズ製造所、測距儀を完成させていた東京計器製作所の光学部門、岩城硝子の探照灯反射鏡部門を合併して設立された会社です。

上は東京計器製の望遠鏡(1908年頃)、

下は藤井レンズ製双眼鏡、天祐号8x27(左側、1913年)、

  藤井レンズ製双眼鏡、日本号8x26(右側、1913年)

上は小型(25cm)測距儀(1931年)

上は九六式66cm測距儀(1944年)、下は三式偏流計 甲(1944年)

 

双眼鏡は古いものから最近のものまで手持ちタイプのものが斜めの線でポロタイプとダハタイプに分けて展示されています。

 

アンタレス 8x30双眼鏡、40年史によれば1946年から1951年までに600台製造されたものです。