星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

副鏡の面精度

11月11日に書いたAntares Optics製の副鏡の記事に載せたZygo干渉計による測定データですが、Surface/Wavefrontとあり面精度の値なのか、透過波面精度の値なのかが気になっていました。その後友人の詳しい方に教えてもらったのですが、反射鏡の測定の場合には波面誤差が2倍出ることを避け面精度を直接表示するために、Scale Facterを0.5にするとのことです。測定データのScale Facterは0.5となっているので副鏡の面精度はλ/20のようです。望遠鏡に組み立てた際の透過波面精度としては45°傾けて設置されるので√2倍に伸びて√2×λ/20=λ/14.1 になり、さらにZygo干渉計では632.8nmの波長で使われることが多いので可視光(明所視)の中心波長555nmに換算するとλ/14.1は632.8/555×λ/14.1→λ/12.4になりそうです。十分な精度だと思います。

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全体の仮組み立て

今朝は全体を仮組みして動きやバランスを確認しました。ベランダで行いましたがやはり大きい。はみ出してしまいそう。

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主鏡運搬箱の組み込みですが重いのでとりあえずレール代わりの木材を左右に敷いてその上に載せ、スライドさせて組み立てました。もう少し作業がスムースにできるように改善したいです。

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主鏡を載せた後にトラス下枠を載せました。

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トラス支柱を組み立てた後、上トラス枠を載せました。やはり踏み台が必要になります。

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ついに組みあがりました。大きいのでカメラの視界からはみ出ました。高度軸周りのバランスは摩擦が大きいためもあるのかもしれませんが問題はありません。気になっていた回転の重さに関して、方位軸は良い感じですが、高度軸は少し重いです。方位軸に比べると荷重に対するテフロン板の面積はかなり小さいのでテフロン板の面積を増やして試してみたいです。

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今朝は冬晴れで富士山がきれいです。

 

副鏡の組み込み

昨日副鏡をホルダーに組み込みました。ホルダーはAstroSystems社から購入した短径5インチ(127mm)用のものです。発泡樹脂のサポート材とfiber fill(綿)を詰めて副鏡を保持します。

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ベースの素材は樹脂製ですがねじ部には黄銅のインサートが設けてあります。下側の溝はヒーターを使う場合にケーブルを通すためと思います。

 

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ホルダーはアルミ板製で内側全周に厚さ2mmの抜け止めが設けらています。傷防止のために抜け止めの内側には120°間隔で3か所に2mm×30mmのフェルトを貼りました。この際に素手で作業したのがいけなかったようでフェルトの当たった鏡の周辺に汚れがついてしまいました。フェルトを含めてきれいに拭いてから組み込みをやり直しました。

 

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サポート材は両面テープで固定しました。

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綿の詰め加減は鏡がガタつかない程度に詰めて様子をみます。

 

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組み込み完了。副鏡の短径は127mmでしたが、ホルダーに組み込んだので抜け止めの厚さ分が小さくなりました。有効な短径は実測122.5mmです。少し大きめの副鏡にしておいてよかったです。

主鏡運搬箱

最近8年前から使っていたパソコンが壊れデータ移行や設定に手間取り時間が経ってしまいました。主鏡運搬箱の記事は6月に書いていますが、昨日やっと主鏡を組み込みました。f:id:doortosky:20211210155155j:plain

中空ポリカーボネート構造板(厚さ4mm)で上下のカバーを作りましたが夫々重さが500gになり合わせて1kgです。側面の窓も同じポリカーボネイト板で塞ぎました。上カバーはプラスチックのアングル材で挟みスライド構造にしました。下側もスライド式にしたかったのですが厚さが増すのでマジック(ファスナー)テープで固定しました。取っ手はアルミの平角パイプ材から作っていますが主鏡を入れた状態で持ち上げてみると少し指に痛く何かを巻こうと思います。

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主鏡側面の支持はΦ3mmのステンレス製ワイヤーケーブルです。当たりを柔らかくするために透明樹脂のチューブを被せました。上側2カ所には位置決めの部品(フェルト付きアジャスター)を取り付けました。主鏡の左右の振れ止めはまだ設けていませんが必要かもしれません。

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主鏡の抜け止め。面取り部分に当たります。当たり面に黒色のフェルトを貼っています。

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23kgの主鏡を入れるのは持ち上げるだけで大変でした。鏡面に埃がつかないようにカバーを載せています。

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主鏡を裏側から見ています。裏面はきれいに研磨されています。
主鏡運搬箱の重さですが、上下のポリカ製の蓋が1kgとなり全体で3.81kgになりました。目標は3kg以下でしたが難しかったです。主鏡を入れた状態では約27kgとなりました。

 

 

接眼部の取り付け

18インチドブソニアンの接眼部にはStarlight Instruments社の2インチフェザータッチフォーカサー( 作動範囲1.5インチ)を選びました。他の候補も考えましたが24インチにはこれがベストと思い予算の節約のため18インチから取り外して使用することにしました。18インチはしばらく使えません。

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18インチの接眼部

 

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取り外したフォーカサー(左側のノブは使っている間に退色)

 

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フラットベース

 

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取り付けた接眼部、上トラス枠の副鏡ケージ接続のための部品が接眼部を真横に配置するとフォーカサーの合焦つまみと干渉するので副鏡ケージを少し斜め上に回して配置してみました。合焦つまみの位置を90°回す配置も考えられます。

高度軸の回転制限

高度軸は70°間隔に配置したテフロン板で負荷を支持しますが回転の際に側面方向の動きも制限することにしました。高度角についても鏡の保持方法の都合があり制限します。

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8mm厚のテフロン板を加工して制限板を作りました。高度軸の側面方向の動きと回転角度を制限します。

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ロッカーボックスの4か所に取り付けました。

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ミラーボックスに設けたストッパーが制限板に当たり高度軸の回転角度を制限します。高度軸の回転角度は1°~89°にする予定です。1°側のストッパーは高度軸の内側に設けます。

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制限のテフロン板は高度軸の内側に当たり高度軸の側面方向の動きを制限します。

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ミラーボックスと高度軸の間に制限版があります。ミラーボックスの外側に取り付ける案もありましたが内側に設けたのですっきりした外観になりました。

副鏡

ニュートン反射望遠鏡には焦点を鏡筒の側面に引き出すために45度に傾けた楕円形の鏡(斜鏡とも呼びます)が必要です。短径4.5インチでも大丈夫ですが、少し余裕がほしいので5インチ(127mm)にしました。Antares Opticsに問い合わせたところ短径5インチ、材質はSupremax 33、波面誤差λ/20のものがちょうど在庫があるとのこと。2017年夏に購入しました。

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封筒に緩衝材でくるまれた段ボール枠の梱包です。

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厚さは1インチ、重さ1kgでした。

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添付されていた入射角45°での反射率測定データ。

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Zygo干渉計による波面誤差の測定データ。