星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

主鏡運搬箱

最近8年前から使っていたパソコンが壊れデータ移行や設定に手間取り時間が経ってしまいました。主鏡運搬箱の記事は6月に書いていますが、昨日やっと主鏡を組み込みました。f:id:doortosky:20211210155155j:plain

中空ポリカーボネート構造板(厚さ4mm)で上下のカバーを作りましたが夫々重さが500gになり合わせて1kgです。側面の窓も同じポリカーボネイト板で塞ぎました。上カバーはプラスチックのアングル材で挟みスライド構造にしました。下側もスライド式にしたかったのですが厚さが増すのでマジック(ファスナー)テープで固定しました。取っ手はアルミの平角パイプ材から作っていますが主鏡を入れた状態で持ち上げてみると少し指に痛く何かを巻こうと思います。

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主鏡側面の支持はΦ3mmのステンレス製ワイヤーケーブルです。当たりを柔らかくするために透明樹脂のチューブを被せました。上側2カ所には位置決めの部品(フェルト付きアジャスター)を取り付けました。主鏡の左右の振れ止めはまだ設けていませんが必要かもしれません。

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主鏡の抜け止め。面取り部分に当たります。当たり面に黒色のフェルトを貼っています。

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23kgの主鏡を入れるのは持ち上げるだけで大変でした。鏡面に埃がつかないようにカバーを載せています。

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主鏡を裏側から見ています。裏面はきれいに研磨されています。
主鏡運搬箱の重さですが、上下のポリカ製の蓋が1kgとなり全体で3.81kgになりました。目標は3kg以下でしたが難しかったです。主鏡を入れた状態では約27kgとなりました。

 

 

接眼部の取り付け

18インチドブソニアンの接眼部にはStarlight Instruments社の2インチフェザータッチフォーカサー( 作動範囲1.5インチ)を選びました。他の候補も考えましたが24インチにはこれがベストと思い予算の節約のため18インチから取り外して使用することにしました。18インチはしばらく使えません。

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18インチの接眼部

 

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取り外したフォーカサー(左側のノブは使っている間に退色)

 

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フラットベース

 

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取り付けた接眼部、上トラス枠の副鏡ケージ接続のための部品が接眼部を真横に配置するとフォーカサーの合焦つまみと干渉するので副鏡ケージを少し斜め上に回して配置してみました。合焦つまみの位置を90°回す配置も考えられます。

高度軸の回転制限

高度軸は70°間隔に配置したテフロン板で負荷を支持しますが回転の際に側面方向の動きも制限することにしました。高度角についても鏡の保持方法の都合があり制限します。

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8mm厚のテフロン板を加工して制限板を作りました。高度軸の側面方向の動きと回転角度を制限します。

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ロッカーボックスの4か所に取り付けました。

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ミラーボックスに設けたストッパーが制限板に当たり高度軸の回転角度を制限します。高度軸の回転角度は1°~89°にする予定です。1°側のストッパーは高度軸の内側に設けます。

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制限のテフロン板は高度軸の内側に当たり高度軸の側面方向の動きを制限します。

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ミラーボックスと高度軸の間に制限版があります。ミラーボックスの外側に取り付ける案もありましたが内側に設けたのですっきりした外観になりました。

副鏡

ニュートン反射望遠鏡には焦点を鏡筒の側面に引き出すために45度に傾けた楕円形の鏡(斜鏡とも呼びます)が必要です。短径4.5インチでも大丈夫ですが、少し余裕がほしいので5インチ(127mm)にしました。Antares Opticsに問い合わせたところ短径5インチ、材質はSupremax 33、波面誤差λ/20のものがちょうど在庫があるとのこと。2017年夏に購入しました。

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封筒に緩衝材でくるまれた段ボール枠の梱包です。

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厚さは1インチ、重さ1kgでした。

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添付されていた入射角45°での反射率測定データ。

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Zygo干渉計による波面誤差の測定データ。

主鏡

主鏡は2017年春に鏡作りの名人として知られる Carl zambuto 氏のZambuto Optical Company  に発注しました。ホームページにあるSeven Criteria には干渉計による計測値だけではなく鏡面の形状の滑らかさと面粗さが小さいことが重要とあり、細かな問い合わせにもとても親切に対応いただきました。当時半導体用途の石英素材による比較的薄い24インチ鏡がリストに載ったので発注を決めました。今は当時よりも価格が上がり20インチまでとなっています。最高の鏡を作ってもらうために納期は急がず完成を待ち2019年の秋に完成、Fedexで届きました。段ボール箱のふたを開けて内容の確認までしましたが、鏡周の面取り幅を知りたくなり鏡面を開梱しました。

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梱包箱は80cm×80cm、厚さ20cmの大きさで約30kgです。Fedexの方はすいすいと車から玄関まで運んでくれましたが、この大きさと重さを一人で持ち運ぶのはかなりきついです。

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緩衝材でしっかり保護されています。

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アルミに石英のオーバーコートが施されており、これが完全に酸化、硬化するまで90日かかるそうです。それまでは鏡面に素手で触れたり、飛沫を付着させたりすることは厳禁でそのために手袋とマスクが同梱されています。

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鏡面は柔らかい薄紙を介して厚紙で保護され厚紙は鏡周にテープで止められています。とても丁寧に梱包されていて、梱包箱と緩衝材等全て再メッキに備えて保存するように説明がありました。

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鏡面の状態と面取り幅(3mm程度)を確認しました。黄色のセンターマークを貼ってもらいました。添付された保証書には、焦点距離は95.8”(2433.32mm)とあります。

三角板の回り止め

主鏡フローティング支持のための三角板ですが、揺動支持点回りの回転止めを設けました。最初は厚さ0.5mmのペット樹脂板で制限を作ってみましたがヘナヘナと曲がってしまいだめだったので百円ショップのダイソーで求めたポリプロピレン板(厚さ1.2mm)で作り直したところほどよい硬さになりました。

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三角板の端にはテフロン板を固定するM3ねじが裏側に突き出していてそこにナットで回転止めの板を固定します。回るといけないので両面粘着テープで接着、その上からナットで固定しました。

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11月16日、木星の衛星ガニメデによるイオの掩蔽

11月16日の19時過ぎに木星の衛星ガニメデによるイオの掩蔽が見られます。状況を模擬したアニメーションを作りました。

今回は都合があり見られないのが残念です。

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(アニメーションの中の時刻は世界時なので日本では9時間をプラスします)