星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

副鏡

ニュートン反射望遠鏡には焦点を鏡筒の側面に引き出すために45度に傾けた楕円形の鏡(斜鏡とも呼びます)が必要です。短径4.5インチでも大丈夫ですが、少し余裕がほしいので5インチ(127mm)にしました。Antares Opticsに問い合わせたところ短径5インチ、材質はSupremax 33、波面誤差λ/20のものがちょうど在庫があるとのこと。2017年夏に購入しました。

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封筒に緩衝材でくるまれた段ボール枠の梱包です。

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厚さは1インチ、重さ1kgでした。

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添付されていた入射角45°での反射率測定データ。

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Zygo干渉計による波面誤差の測定データ。

主鏡

主鏡は2017年春に鏡作りの名人として知られる Carl zambuto 氏のZambuto Optical Company  に発注しました。ホームページにあるSeven Criteria には干渉計による計測値だけではなく鏡面の形状の滑らかさと面粗さが小さいことが重要とあり、細かな問い合わせにもとても親切に対応いただきました。当時半導体用途の石英素材による比較的薄い24インチ鏡がリストに載ったので発注を決めました。今は当時よりも価格が上がり20インチまでとなっています。最高の鏡を作ってもらうために納期は急がず完成を待ち2019年の秋に完成、Fedexで届きました。段ボール箱のふたを開けて内容の確認までしましたが、鏡周の面取り幅を知りたくなり鏡面を開梱しました。

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梱包箱は80cm×80cm、厚さ20cmの大きさで約30kgです。Fedexの方はすいすいと車から玄関まで運んでくれましたが、この大きさと重さを一人で持ち運ぶのはかなりきついです。

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緩衝材でしっかり保護されています。

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アルミに石英のオーバーコートが施されており、これが完全に酸化、硬化するまで90日かかるそうです。それまでは鏡面に素手で触れたり、飛沫を付着させたりすることは厳禁でそのために手袋とマスクが同梱されています。

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鏡面は柔らかい薄紙を介して厚紙で保護され厚紙は鏡周にテープで止められています。とても丁寧に梱包されていて、梱包箱と緩衝材等全て再メッキに備えて保存するように説明がありました。

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鏡面の状態と面取り幅(3mm程度)を確認しました。黄色のセンターマークを貼ってもらいました。添付された保証書には、焦点距離は95.8”(2433.32mm)とあります。

三角板の回り止め

主鏡フローティング支持のための三角板ですが、揺動支持点回りの回転止めを設けました。最初は厚さ0.5mmのペット樹脂板で制限を作ってみましたがヘナヘナと曲がってしまいだめだったので百円ショップのダイソーで求めたポリプロピレン板(厚さ1.2mm)で作り直したところほどよい硬さになりました。

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三角板の端にはテフロン板を固定するM3ねじが裏側に突き出していてそこにナットで回転止めの板を固定します。回るといけないので両面粘着テープで接着、その上からナットで固定しました。

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11月16日、木星の衛星ガニメデによるイオの掩蔽

11月16日の19時過ぎに木星の衛星ガニメデによるイオの掩蔽が見られます。状況を模擬したアニメーションを作りました。

今回は都合があり見られないのが残念です。

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(アニメーションの中の時刻は世界時なので日本では9時間をプラスします)

方位軸の組み立て(続き)

テフロン板にコルク板(厚さ2mm)を貼りつけました。コルク板は百円ショップのセリア に粘着シート付で厚さ2mmのちょうどよいのがありました。サークルカッターで切り抜きテフロン板に貼りつけました。

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コルク板でグランドボードの表面の微妙な凸凹を吸収する効果も期待します。

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テフロン板はしっかり接着できました。このコルク板をダイソーの両面粘着テープでグランドボードに接着、中心軸のテフロン板には厚さ0.5mmの厚紙2枚を挟みました。中心軸部でも荷重を支えると周縁部の荷重を分散し回転に要するモーメントを減らす効果があります。

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回転調子は滑らかで良い感じです。望遠鏡全体を組み上げてから最終確認。

方位軸の仮組み立て

どのような感じになるか方位軸を仮組み立てしました。グランドボードには周縁3か所にテフロン板を両面テープで仮に貼りつけました。中心軸のテフロン板は軸に、はめ込んだだけですが周辺3箇所のテフロン板の荷重を減らすために厚さ0.5mm程の厚紙を挟んでみました。

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テフロン板は以前ヤフオクで入手していたもので厚さ2mm、外径がΦ115mmです。もう少し厚ければ木ネジで止められますが、両面接着テープで固定します。仮組みしてみたらグランドボードが少し反っていて2mmのテフロン板だと直に当たる部分があるのでコルク板で少し底上げするつもりです。テフロン板は接着が出来ず固定が難しいと言われますが、粘着テープでもある程度の接着力はあり挟まれた状態で使うので問題はない感じです。

 

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グランドボード裏側のΦ20mm中心軸固定部。

 

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ロッカーボックス側。

 

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グランドボードには端材で作った六角形の脚をテフロン板の裏側に設けました。肝心の回転の具合ですがけっこう滑らかです。テフロンの相手部材についてはメラミン化粧板が良いと言われています。18インチドブソニアンではステンレス板を使用しました。摩耗するかもしれませんが、塗装面(オスモカラーのカウンタートップオイル、原料は天然のオイルとワックス)の滑りがとてもよいので特別の部材は取り付けないで進めてみます。

方位軸の穴開け

グランドボードとロッカーボックスの中心に方位軸取り付けのための穴加工をしました。部品が大きいのでボール盤には載りません。ホームセンターで簡易なドリルガイドを求め工夫して使いましたが、少し斜めになってしまい後からヤスリで修正しました。高額ですがもっとしっかりしたものを準備したほうが良かったです。

18インチドブソニアンではM8ボルトで軸を代用しました。今回は運搬時にグランドボードの着脱を考えており、またガタの少ない構造にしたく滑り軸受けを使うことにしました。

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グランドボードに方位軸を通すための穴(Φ20mm)を開けます。

 

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ロッカーボックス側には穴(Φ30mm)を開けます。ここにはフランジ付の滑り軸受けを取り付けます。

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組み合わせた軸受けです。Φ20mmのステンレス製軸の両端にはM12のねじ穴を設けています。グランドボードとロッカーボックスに通した後に六角ボルトで固定する構造にしました。将来、ロッカーボックス側にエンコーダーを取り付ける場合には六角ボルトの頭にエンコーダー軸固定用の穴を設けます。

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軸のグランドボード側端面には平削り面を設けて回り止めとしました。レーザーカットによる軸固定板2枚は重ねてグランドボードの裏側に木ネジで固定します。Φ20mmステンレス製軸と滑り軸受けはモノタロウから購入しました。