星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

トラス支柱の接続部品

天頂から水平まで鏡筒が傾いたときの姿勢差による接眼レンズ部の光軸のずれ量がどのくらいまで許容されるかですが、0.1mm以内を目標にしました。実際には主鏡の支持部品やミラーボックスの変形などトラスの他にも多くの要素があります。トラスにかかる副鏡部の重量を10kgとしトラス支柱の伸縮によるずれ量を概略検討しました。支柱を外径Φ32mm、厚さ1.5mmのアルミ合金(A6063押出丸パイプ)製とし、長さ1680mmに8本切断してもらい購入しました。

外観は黒アルマイトも候補としましたが無色のアルマイトに比べて倍近い見積もりとなり、後から艶消し黒のシートを貼ることを考えています。

ドブソニアン作りの教科書「The Dobsonian Telescope」David Kriege・Richard Berry著では20インチ~25インチ口径(f5)では外径Φ35mm〜38mmのパイプ材が推奨されています。しかし口径比が4で少しパイプが短くなること、それから購入した接続部品は、日本で購入が容易なmm単位サイズのパイプ材に対応した部品が32mm径までしか無くこれ以上はインチサイズ材対応のため外径Φ32mmパイプ材を選択しました。

18インチドブソニアンを作った頃は市販の部品が無かったので写真のような構造にしました。当時スパイダーナットという金物も知らなかったので外径Φ22mm、厚さ1mmのアルミ合金パイプ材に幅20mm、厚さ3mmのアルミ合金平角棒材を押し込んで接着しました。

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24インチでは良さそうなものが見つかったので市販品を使います。米国のAurora PrecisionからΦ32mmパイプ用の部品を直接購入しました。アルミ合金の切削加工品でとてもしっかりした作りです。米国はドブソニアン望遠鏡の生まれた国であり手作り文化が根付いていて部品も豊富で羨ましいです。

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副鏡ケージ側の接続用部品(Quick Release Cage Clamp)左側はトラス支柱をミラーボックスの内側に設ける場合、右側は外側に設ける場合の組み方で24インチでは内側に設ける予定です。

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ミラーボックスへの接続金物(Tube Bracket)です。8本独立して取り付けます。

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外径Φ32mm用のスパイダーナット、中央には1/4インチのねじが設けられていてパイプ材の内径に周縁の板ばねが食い込んで抜けなくなる構造です。

今回初めて使用します。打ち込んだら抜き取ることはできないので予行演習したいのですが、予備の部品はありません。真っすぐ打ち込むための工具を考えてみました。

Aurora Precisionでも打ち込み用の工具を扱っていますが、スパイダーナットの先端にねじ込んで使うタイプなのでパイプの両端に打ち込む場合には工具が回収できず難しそうです。

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ホームセンターで探したところ、水回りの配管用塩ビ管にちょうど良いのがあり内径が約Φ32mmです。これとホールソーで抜いた外径約Φ32mmの木部品のセンターにΦ6.5mmの穴を開けた部品を組み合わせてみました。塩ビ管をアルミパイプに被せて案内にして1/4インチ径の六角ボルトの頭を叩いて打ち込む考えです。スパイダーナットの板ばねの外径をノギスで測ってみるとΦ30.3mm、パイプ材の内径はΦ29.1mmです。厚さ0.6mmのかなり強そうな板ばねです。