星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

副鏡支持部

副鏡のスパイダーですが、下図のような配置が考えられます。すばる望遠鏡では赤外線観測の際に副鏡を振動させる必要から鏡筒軸回りの剛性の高い左側に示す配置を採用しているようです。スパイダー羽根をできるだけ薄くするほうが羽根による回折像を目立たなくできますが、剛性は落ちてしまいます。18インチドブソニアンでは、市販品のスパイダー・ホルダーを使用していて羽根の厚さは0.5mmでした。24インチの場合副鏡が重いので剛性を考えると1mm厚程度が良さそうです。1mm厚にするのが無難な選択ですが、できるだけ薄くして試してみたいと思い0.3mm厚で作りました(風による振動も心配です)。ワイヤーで副鏡を吊るワイヤースパイダーではΦ0.5mm〜Φ1mm程度のワイヤーに張力をかけて副鏡を吊る構造で、スパイダーによる回折像が目立たないと言われています。視野周辺の斜めの光線が入射するときに遮蔽面積が小さいためなのかと思うのですが、羽根構造でも肉抜きをして張力で支持すれば、同様の効果が得られないかと思いました。次に赤道儀の場合には鏡筒軸に関して鏡筒が回るので関係のない内容ですが、重力方向に対して+配置にするか×配置にするかです。羽根を平行にそろえ易そうに思い+配置で作ることにしました。

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羽根はステンレス薄板(0.3mm厚、SUS304H)からレーザーで切り出しています。「株式会社かねよし」に図面を描いて依頼しました。レーザーで切り出す場合薄板では熱のため返りがでるかもしれないとのことでしたが、平坦で美しい仕上がりです。

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副鏡のホルダーは米国のAstroSystems社から購入した5インチ用です。f:id:doortosky:20200707154106j:plain

スパイダー羽根の取り付け部分は写真のようにアルミ角パイプ材(40×40×t3)とアルミアングル材(20×20×t2)、アルミ平角棒(幅40、厚さ10mm)から作りました。今回も大量のバカ穴とタップ穴加工です。

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仮組です。副鏡のオフセット量は7.5mmとしてホルダーの軸を通す穴を開けています。

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ホルダーと羽根を取り付けてみました。

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