星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

24インチで惑星撮影

やっと24インチドブソニアンで土星木星の初撮影をしました。まずアイピースニコンNAV-5SW)480倍で土星を観察。18インチと比べて色が濃く、明るくシャープに見えます。薄く透き通ったC環(ちりめん環)もよく見えました。重い大きいと問題もありますがこの眺めには代えられません。初めて小さな望遠鏡で土星を見た時と同じような感動がありました。

2022-08-07-1423_8 (UT)  Seeing: 7/10   Trans:3/5  CM I 225.2° CM II 257.0° CM III 315.9° 

610mm f4 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC  (with Baader UV/ IR cut filter)  12.3-ms, 60sec x3, 50%frames stack (derotation 3 images) 

土星の衝が8月15日なのでそれもあって明るく見えていると思います。

 

18インチによる昨年8月の土星です。今年よりも環が開いています。

土星 2021-08-05-1510_0 (UT)  Seeing:8/10 Trans:3/5  CMⅠ=5.9° CMⅡ=10.8° CMⅢ=152.3°

 

2022-08-07-1829_1 (UT) (08-08-0329_1 (JST))    Seeing: 7/10   Trans:3/5  CMⅠ 200.3° CM II 196.6° CM III 113.9° 

610mm f4 Newtonian (Dobsonian)  Televue barlow 3x  ZWO ASI462MC  (with Baader UV/ IR cut filter)  1.6-ms, 60sec x3, 50%frames stack (derotation 3images) 

画面の揺れが大きく5xパワーメイトだと画像がはみ出すので3xバーローレンズで拡大しました。ADCは使っていません。

 

赤道儀プラットホームのローラーの滑りですが、問題なく動きました。ここまでは良かったのですが、いろいろと問題が発生。

 

1. 微風でよく揺れた

赤経赤緯駆動モーターのボリュームをパソコン画面を見ながら絶え間なく動かさねばなりませんでした。18インチと比べて剛性が向上することを期待していましたが現状では同程度です。木造の床のためか?

 

2. 赤緯のずれが大きい

赤道儀プラットホームの構造から考えて北緯35°より高い緯度向けの設計ではないかと気になっていましたが、東南の空の土星がどんどん北にずれていきます。赤緯モーターの速度調整でなんとか補正しました。風によるブレがなければ一定速度でずれを補正することもできますが、直すには南側軸受けの改造、または、ドブソニアンでよく使われているServoCATのような自動経緯台化ですが像回転が気になります。

 

3. 赤道儀プラットホームのリセット

18インチ用では片側を持ち上げてローラーの上の円弧板をずらしてリセットしていたが24インチは重さがあるのでかなり重労働です。簡単にリセットできる構造にしたい。

 

4. 脚立に載るのが怖い

脚立は18インチで使っていたもの(足場の最高の高さ80cm程度)を使いましたが火星を見ようとしたら接眼部に届きません。木星も高度が高く転落が怖くアイピースをしっかりと覗けませんでした。もう少し高く安定したものがほしいです。

赤経駆動ローラー

赤道儀プラットホームに製品として取り付けられていた赤経駆動ローラーは、アルミ合金製の外径Φ12mmのものでした。これが円弧状の相手部品(これもアルミ合金製で厚さ8mm)に接して摩擦力で駆動するものです。当初18インチドブソニアンを載せて使った際には問題はなかったのですが、24インチドブソニアンを載せて星を追尾してみたらローラーが滑って追尾ができません。原因は搭載重量増加でしょうか?

 

動かないと撮影はできないので改造することにしました。ネットで検索するとローラーの摩擦力で悩んでいる方は多いようです。いくつか試してみました。

 

1. ローラーに塩ビチューブを接着してみた。写真のようにチューブを被せ接着して負荷(自分の体重)を載せて動かしてみました。結果はチューブが簡単に剥がれてしまいました。載せる重さが軽いうちは問題なく動いたのですが、搭載重量を増やすと動きません。

 

2. 紙やすりを相手部品に接着すると滑らないとあったので試してみました。#800の耐水ペーパーを両面テープで接着してみました。これも搭載重量が軽いうちは問題なく動きましたが体重をかけると追尾しません。部品を見たら耐水ペーパーに穴が開いていました。

 

星見屋さんではゴム被覆のローラーを準備したようです。これも候補でしたが、搭載重量が重いのでゴムが剥がれないか気になります。径を少し大きくしたほうが接触面積が増えて滑らないのではと考えウレタンローラーを探しました。機械部品を扱うミスミに使えそうなサイズのウレタンローラーが見つかりました。最近は個人にも販売しているのがありがたいです。外径Φ20mm、ウレタンの硬度は一番硬いタイプを選び注文しました。元からのΦ12mmローラーには固定用のM4ビスがあるので同じ位置にM4のタップ穴加工をして軸受けに取り付けました。

外径が大きくなったので軸受け部品の干渉する部分を削り、取り付けねじを皿頭に交換しました。空回り側と駆動側の2箇所とも交換しました。うまく動いてくれるとよいのですが。

 

FireCapture2.7.1の画面設定

惑星撮影にはFireCaptureを以前から使っていますが、年末に買い替えたパソコンに昨夜FIreCapture2.7.1をダウンロードしました。以前2.7のβ版を古いパソコンに入れた際にFlipX,YとDebayerを含む「Options」の表示が左側の表示欄から消えていて表示するのに苦労しました。今回もその際のことをすっかり忘れていたのでメモも兼ねて参考にしていただければと思い記載することにしました。

V2.5では最初から左側にあったOptionsの見出しがありません。これを設けるには、Settingsの中にあるLayoutをクリックします。

右側にOptional task panels (Main window)が開くのでOptionsの項目にチェックを入れて閉じます。

ついでですが、この画面ではNight modeの隣のChange colorで画面の色もお好みに変えられます。私はダークグリーンにしてみました。

左側の主画面欄に「Options」の項目が加わりました。

2022/7/30 惑星写真

ものすごい暑さが続いています。24インチで初撮影したいのですが、赤経駆動のローラーがスリップして正常に動きません。これを直すまでは18インチドブでと思い今シーズン初の惑星写真です。月惑星研究会の掲載写真をみると神奈川の気流はかなり良かったようですが、眼視でも細かぶれがあってコントラストも低く高解像にはなりませんでした。主鏡の温度順応が追い付かないのか?、土星の写真には偏ったボケがあって光軸が合っていない?。18インチにフォーカサーを付け戻して久しぶりに組み立てましたが、24インチに比べるとミラーボックスを除いて各部品を片手で扱えずいぶん楽に感じます。

2022-07-30-1433_2(UT)  Seeing: 5/10   Trans:2/5  CM I 315.6° CM II 245.6° CM III 314.2° 

457mm f4.5 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC   (with Baader UV/ IR cut filter)  14.3-ms, 120sec x2, 30%frames stack (derotation 2images) 

 

2022-07-30-1823_6 (UT) (07-31-0323_6 (JST))    Seeing: 5/10   Trans:2/5  CM 13.2° CM II 70.5° CM III 345.7° 

457mm f4.5 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC   (with Baader UV/ IR cut filter)  7.1-ms, 60sec x4, 30%frames stack (derotation 4images) 

 

2022-07-30-1841_6 (UT)(07-31-0341_6 (JST))  Seeing: 5/10   Trans:2/5  CM=220.5°  Dia=8.22" 

457mm f4.5 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC   (with Baader UV/ IR cut filter)  5.7-ms, 60sec x3, 30%frames stack (derotation 3images) 

眼視では南極冠が白く見えました。

赤道儀プラットホーム、赤緯微動の軸受け

予想外の早い梅雨明け、その後の戻り梅雨と安定しないお天気が続いています。気流が安定した日もあり、早く撮影準備と焦りますがまだ製作中です。赤緯微動の軸受け、写真のような球面軸受けを作りました。18インチ用では円筒にしましたが、プラットホームが傾いた際にずれるといやなのと、18インチを作った際に準備した木製の半球部品(直径60mm)があったので使ってみました。半球の相手の軸受けはグランドボードを肉抜きした際の端切れ(厚さ18mm)です。軸受け側も球面にしたかったですが加工が難しいのでΦ30mmの穴を開け45度の面取りをして当たり面にしました。

軸受けはプラットホームの北側の東西に接着しました。

 

グランドボードの裏面。南側にはジャッキボルト(M8六角ボルト)の頭を受け回り止めとなる溝をアルミ板で作り設けています。

 

グランドボードを載せてみました。

 

ジャッキボルトの駆動モーターはケースに収め反対側にも壁を設けてプラットホームにはめる構造にしました。

 

 

トラス鏡筒の覆い

トラス鏡筒の遮光とミラー保護のための覆い(Light shroud)ですが、米国のメーカー(Shrouds by Heather)に製作してもらいました。色付きのものも面白いのですが黒い布地が内側で外側に色付きの素材の二重構造になり倍の重さになるとのことなのでやめました。両端にゴムバンドが縫い込まれており副鏡ケージの下部リングと下部のトラス枠にかけて止める構造です。伸縮性があるのでクランプのつまみやトラス部品の出っ張りは問題になりません。各部の寸法を連絡し注文してから届くまで約1か月でした。円安のご時世もあって送料が高くつきました。

シュラウドの重さは思ったより軽く約1kgでした。副鏡ケージ下部リングの下側が光束にかかる程度凹むので何らかの部材を入れて凹み防止したいと思います。

24インチ(外径Φ610mm)の主鏡ですが、シュラウド無しで組み立て天頂近くに鏡筒を向けると露出面が大きく、何か落としたらと怖くなってしまいます。筒内気流や風の影響に関してはオープン構造のほうが良いのですが、遮光のためと、埃もかかりにくいので観望会には必須です。