星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

2022/7/30 惑星写真

ものすごい暑さが続いています。24インチで初撮影したいのですが、赤経駆動のローラーがスリップして正常に動きません。これを直すまでは18インチドブでと思い今シーズン初の惑星写真です。月惑星研究会の掲載写真をみると神奈川の気流はかなり良かったようですが、眼視でも細かぶれがあってコントラストも低く高解像にはなりませんでした。主鏡の温度順応が追い付かないのか?、土星の写真には偏ったボケがあって光軸が合っていない?。18インチにフォーカサーを付け戻して久しぶりに組み立てましたが、24インチに比べるとミラーボックスを除いて各部品を片手で扱えずいぶん楽に感じます。

2022-07-30-1433_2(UT)  Seeing: 5/10   Trans:2/5  CM I 315.6° CM II 245.6° CM III 314.2° 

457mm f4.5 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC   (with Baader UV/ IR cut filter)  14.3-ms, 120sec x2, 30%frames stack (derotation 2images) 

 

2022-07-30-1823_6 (UT) (07-31-0323_6 (JST))    Seeing: 5/10   Trans:2/5  CM 13.2° CM II 70.5° CM III 345.7° 

457mm f4.5 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC   (with Baader UV/ IR cut filter)  7.1-ms, 60sec x4, 30%frames stack (derotation 4images) 

 

2022-07-30-1841_6 (UT)(07-31-0341_6 (JST))  Seeing: 5/10   Trans:2/5  CM=220.5°  Dia=8.22" 

457mm f4.5 Newtonian (Dobsonian)  5x Powermate ZWO ASI462MC  ADC   (with Baader UV/ IR cut filter)  5.7-ms, 60sec x3, 30%frames stack (derotation 3images) 

眼視では南極冠が白く見えました。

赤道儀プラットホーム、赤緯微動の軸受け

予想外の早い梅雨明け、その後の戻り梅雨と安定しないお天気が続いています。気流が安定した日もあり、早く撮影準備と焦りますがまだ製作中です。赤緯微動の軸受け、写真のような球面軸受けを作りました。18インチ用では円筒にしましたが、プラットホームが傾いた際にずれるといやなのと、18インチを作った際に準備した木製の半球部品(直径60mm)があったので使ってみました。半球の相手の軸受けはグランドボードを肉抜きした際の端切れ(厚さ18mm)です。軸受け側も球面にしたかったですが加工が難しいのでΦ30mmの穴を開け45度の面取りをして当たり面にしました。

軸受けはプラットホームの北側の東西に接着しました。

 

グランドボードの裏面。南側にはジャッキボルト(M8六角ボルト)の頭を受け回り止めとなる溝をアルミ板で作り設けています。

 

グランドボードを載せてみました。

 

ジャッキボルトの駆動モーターはケースに収め反対側にも壁を設けてプラットホームにはめる構造にしました。

 

 

トラス鏡筒の覆い

トラス鏡筒の遮光とミラー保護のための覆い(Light shroud)ですが、米国のメーカー(Shrouds by Heather)に製作してもらいました。色付きのものも面白いのですが黒い布地が内側で外側に色付きの素材の二重構造になり倍の重さになるとのことなのでやめました。両端にゴムバンドが縫い込まれており副鏡ケージの下部リングと下部のトラス枠にかけて止める構造です。伸縮性があるのでクランプのつまみやトラス部品の出っ張りは問題になりません。各部の寸法を連絡し注文してから届くまで約1か月でした。円安のご時世もあって送料が高くつきました。

シュラウドの重さは思ったより軽く約1kgでした。副鏡ケージ下部リングの下側が光束にかかる程度凹むので何らかの部材を入れて凹み防止したいと思います。

24インチ(外径Φ610mm)の主鏡ですが、シュラウド無しで組み立て天頂近くに鏡筒を向けると露出面が大きく、何か落としたらと怖くなってしまいます。筒内気流や風の影響に関してはオープン構造のほうが良いのですが、遮光のためと、埃もかかりにくいので観望会には必須です。

星の村天文台星まつり

福島県田村市の星の村天文台、星まつり。天文イベント、この2年はコロナウイルスのため中止がほとんどですが、久しぶりで行ってきました。田村市の星まつりは初めてです。天文台は小高い山の上にありました。神奈川から往路は圏央道東北道経由で6時間近く(約330km)かかりました。

向かい側にはあぶくま洞(鍾乳洞)があります。

会場には望遠鏡メーカーや販売店のブースが並んでいます。

きのこ同好会もありました。

非売品の木製の渾天儀、真円に作るのは大変だそうです。

国立天文台渡部潤一先生の講演会がありました。

天文台内の展示室です。

天文台の65cm反射望遠鏡も見たかったのですが、久しぶりに会ったお仲間と語らっている間に公開時間が過ぎてしまいました。次回の楽しみにしておきます。

 

館内には米国のバリンジャー隕石から作ったという「隕星剣」が展示されていました。

 

駐車場には大小望遠鏡が並んでいます。


久しぶりの星野写真撮影。さそり座がよく見えました(伸びた光跡は飛行機)。

帰りはなぜかカーナビが磐越道常磐道経由しか選びません。夜は結構冷えてよく眠られなかったので眠気が襲ってきます。PAで休み休み、磐越道常磐道経由で帰りました。こちらのほうが30kmほど距離が短かったです。星まつりは夏から秋開催が多いですが過ごしやすいこの季節もよいですね。

赤道儀プラットホーム、赤緯微動の追加

ドブソニアン望遠鏡で惑星写真を撮影するには数分程度の動画を撮影し画像処理して一枚の画像を仕上げます。その際に赤緯方向に惑星がずれなければ問題はないのですが、プラットホーム自体の精度、風や軟な家の構造などでどうしても微妙なずれは起こりがちです。この修正のための赤緯微動装置を製作中です。構造としてはドブソニアンのグランドボード底面の南側を上下微動するものです。上下微動のために薄型のジャッキ構造を考えました。接眼部の高さをできるだけ低くしたいのでなるべく薄くしたかったのですが、それでも厚さは40mm近くになりそうです(歯車箱の厚さは25mmですがM8ボルトの頭が数mm出入りします)。

赤道儀プラットホームの南側に載せる構造です。教育歯車製の平歯車(歯数120枚と40枚)を使い減速比は1/3です。厚さ2.5mmのアルミ板を軸受けとして大歯車の中心軸にはM8ねじ穴を設けてある丸ボスを用いました。歯車とアルミ板の間にはテフロン板で作ったワッシャーを挟みました。

 

大歯車のセンターにはM8の六角ボルトを通して歯車が回転するとねじが上下する仕組みです。六角ボルトの頭はグランドボード底面で受けて回転止めを設けます。

裏側にはAmazonで購入した定格12V、5rpmの減速機付きDCモーターを取り付けています。赤道儀プラットホームの厚さ(約14cm)と赤緯微動部の厚さを合わせて接眼部の高さは18cmほど高くなります。

木彫りのマリア像

天文関連ではありませんが、5月8日の新聞に「彫り続けて40年マリア像長崎へ」の記事がありました。彫刻家の親松(おやまつ)英治さんが島原の乱の犠牲者の慰霊のために作られたとのことです。製作しているアトリエで見られるのは今回の公開が最後とあり40年かけて作られた木像を、どうしても見たくなりました。マリア像はまず50cmの像を作りさらに2.5m、6mと拡大してバランスを調整して最終の高さ9.5mの像を製作されています。長崎へ運ぶ前の一般公開は5月14~15日とあり5月15日に見学させていただきました。藤沢市みその台の学園施設の中にアトリエがありました。

緑が濃くとても静かな環境です。

 

マリア像のためにアトリエは屋根が嵩上げされています。

入口には彫像が展示されていました。 

  

大きいので台座と上の部分は分割されて製作されています。像の内側は空洞になっていました。

台座と別にされていても見上げるような高さと大きさです。40年かけて作られたという熱意が実ったのですね。素のままだと焼けて劣化するのでマリア像にはこれから透明の保護塗装を施すそうです。