星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

金属部品の塗装と月面撮影

副鏡ケージとフォーカサー取り付け部などアルミ部品の内面とアルマイトのかかっていない外面を塗装しました。下地処理はジフで簡単に洗った程度ですが密着性が良くなくマスキングテープを剥がすと剥がれてしまうところもあります。塗装は難しい!、塗料としてはソフト99のプラサフで下塗り、銀色としてはその上にニッサン用KL0シルバーM、さらにクリアー塗り重ねが必要とあり、同じソフト99のクリアーを上塗りしましたが艶がでません。調べてみると何回も重ね塗りが必要とのことで半艶状態ですがそれ以上はやめました。スプレー缶塗料は容量の割に空中に飛んでしまう分が多くどんどん減ってしまいます。黒艶消しは神東塗料の黒板用(黒、スプレー缶)と大日本塗料のサンデーペイント(油性艶消し黒)を刷毛塗りにしました。刷毛塗りは塗料に無駄がなくよく伸びてありがたいです。友人からは下塗りには「ミッチャクロン」が良さそうだと聞きましたので次回は試してみたいです。

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昨夜は暖かく気流もけっこう安定していました。

24インチで初めての写真撮影です。スマホを手持ちで接眼レンズに当てて撮りました。

赤道儀プラットホームはまだ取り付けていません。

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接眼レンズ:ニコンNAV-10SW、撮影日時:2022-04-10-22-34(JST

 

低摩擦の素材

高度軸と方位軸の回転の重さですが、塗装面(オスモカラーのカウンタートップオイル、原料は天然のオイルとワックス)の滑りがよいのでテフロン板と塗装面の組み合わせで試してみようと思っていました(18インチでは方位軸;テフロン板/ステンレス板、高度軸;テフロン板/川口技研の敷居すべり)。しかし24インチでは鏡筒が重い(80kgほど)ためか塗装面のみで組み立てるとやはり回転が重く感じました。

テフロンの相手素材としてエボニースター(米国Wilsonart 社 Ebony Star)という化粧板が推奨されており、米国のStellafaneのホームページにDobsonian Bearing Materialsとして紹介があります。しかしこれは現在は製造されておらず、代替品もあるのですが日本には輸入販売されておらず入手は難しいです。

国内で入手可能なものを探しに昨年新宿のアイカ工業のショールームを訪ねメラミン化粧板のサンプルを何種類かいただきました。双望会のお仲間に分けていただいた貴重なエボニースターの小片と比較したのですが滑りが少し重い感じです。もっと探せば見つかるかもしれませんが、

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その後百円ショップのダイソーで求めたポリプロピレンシート(PPシート乳白色両面艶消しタイプ)に試しにテフロン板を当ててみたら思いのほか良い滑りでエボニースターと比べてみても同程度に感じます。

写真のように双方ともある程度細かい凸凹がありさらに艶があるところが効いているようです。

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上:ダイソーPPシート、下:エボニースター(細かい目盛はmm)

 

方位軸

ロッカーボックスの裏側にダイソーのP.P.シートを両面テープで貼りました。

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サイズが335mm×500mmなので4枚で外径φ800mmの当たり面にしています。継ぎ目がテフロン板に当たってゴツゴツしないか気になりましたが組み立ててみると問題なく回ります。

高度軸

ダイソーのPPシートは透明なので下地が透けて見えます。見栄えを考えて下に銀色のPPクラフトシートを貼っています。(ホームセンターで求めた銀色のPPクラフトシートのみで作りたかったのですが、シボの違いでしょうか、滑りがダイソー製ほどよくありませんでした)。長さは1500mmほど必要なので幅35mmにカットした3枚のシートを継いでいます。両面テープで高度軸に接着しました。

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組み立てて接眼近くを持って回してみました。高度軸のほうが方位軸より少し重いですが大分滑らかな動きになりました。ポリプロピレンシートの良いところは安価で入手し易いこともありますが、加工が容易です。カッターナイフやハサミで簡単に切れます。耐摩耗性が気になりますがまずは使ってみたいです。

18インチでは鏡筒重量は約38kgでしたが、24インチでは80kg近くになりました。18インチでは軽く動いたものが倍近い重量増のため同じ材質の組み合わせでは難しい感じがします。

光軸ずれの確認

昨夜、スパイダーの羽根の厚さを1.2mmに増したので姿勢差による光軸ずれがどの程度か確認しました。

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    高度20°程度           高度80°程度

羽根の厚さ0.3mmの場合よりもずれは大幅に小さくなりました。微妙なずれはあります。フォーカサー取り付け部にかかる負荷の方向が変わるためかもしれませんが大分良くなりました。振動も収まりましたが、スパイダーで生じる回折の光条は明るい星ではっきり出ます。

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光軸はとりあえずレーザーコリメーターで合わせた状態です。ファインダーも取り付けて初めて上弦に近い月とリゲル(伴星が見えました)、シリウスを見ました。真冬のお天気で気流がひどいです。副鏡ケージをアルミ材で作りましたが手で触ると冷たい!、木の取っ手をつけたくなります。

スパイダー羽根の作り直し

1月2日のファーストライトの記事に記しましたが、高度角を変えた際に厚さ0.3mmのスパイダーの羽根で光軸ずれが生じたので羽根を作り直しました。厚さは1.2mm(材料SUS304)にしました。梁のたわみ量、ねじれ角はその厚さの3乗に反比例するのでずれの原因がスパイダーの羽根にあると考え厚さを4倍にすれば1/64になり、ほとんど目立たなくならないかと期待します。

羽根の重さですが4枚で580g(塗装後590g)。できるだけ軽くしたいところですが、0.3mm厚の場合よりも435g重くなりました。

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羽根が厚くなり振動の収まりも良くなりました。

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車の補修用塗料で下塗りを加えました。

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黒板用の黒色艶消し塗料で上塗りしました。

副鏡オフセット量

副鏡の配置ですが、周辺光量を配慮し図のように副鏡の中心(楕円の中心)を主鏡の光軸から少しずらした配置にしました。現状のオフセット量は7.5mmで製作しています。望遠鏡製作の本やネット上には参考になる計算式がいくつか載っていますが、望遠鏡製作のバイブル本として、Jean Texereaw著の「How to Make a Telescope」という本がとても参考になります。この中には放物面鏡の深さまで配慮した計算式が載っています(第2版、P376)。この式で計算するのが正確と思い副鏡オフセット量を計算し直してみました。

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式は以下になります。

各記号の意味と計算に使用した値(単位mm)は以下です。

a:副鏡短径、Δ:副鏡オフセット量、D;主鏡有効径(604)、f:主鏡焦点距離(2433.32)、d:主鏡焦点位置での像径(20)、l:焦点引き出し量(430)、e:主鏡の中心の深さ

まず主鏡の凹み深さeを求めます。(D/2)^2/4f に数値を代入してe=9.3703mm、この値を以下の式に代入してaとΔを求めました。

a=L/M+L/N 、Δ=(L/M-L/N)/2

ここで L=d(f-e)+l(D-d)、M=2(f-e)-(D-d)、N=2(f-e)+(D-d)

e=r^2/2R   =(D/2)^2/4f

・副鏡の短径、a=125.4mm

・副鏡のオフセット量、Δ=7.55mm

 

この値からすると短径が少し足りません(現状の有効は122.5mm)。

焦点位置での像径を15mmにして計算し直してみました。

・副鏡の短径、a=121.3mm

・副鏡のオフセット量、Δ=7.37mm

 

像径の値によって微妙に変わります。

 

 

 

主鏡側面の押さえ

主鏡側面の押さえですが、フェルト付きのアジャスターボルトを取り付けていました。ネジと一緒に回ってしまうのと厚さがあってケーブルで吊る側の2カ所には設けられないのでチャンネル材にコルク板を貼って回り止め構造にしたものを自作しました。組立・輸送時には4カ所で押さえて鏡が動かないようにします。観望の際には当てる程度にして位置を決め、鏡に圧迫を加えないようにする考えです。

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90°間隔で4カ所に設けました。

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主鏡の面取り部で押さえる半円形の抜け止めは少し削って直に接しない寸法にしました。下側の2カ所はケーブルを介して、上側の2カ所は直に主鏡側面を押さえます。

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押さえ部品の構造です。加工の容易な真鍮製のM8ボルトの中心にM3のタップ穴を加工し、皿ねじでチャンネル材の部品を隙間を設けて回転自由に固定しています。この上にコルク板を貼っています。

 

ファインダーの取り付け

ファインダーには18インチドブソニアンで使っている 8x50mm 正立像のものを流用します。鏡筒が丸筒だと都合良く傾くのですが、フォーカサーボードに取り付ける際にそのままだと接眼部と重なってしまうので30°傾けるための台座を作りました。ファインダーを覗く際に高度の高い天体では不利かもしれません。

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写真で見ての通りですが、アルミのチャンネル材(60×30×t3)を斜めに切り落として工作しました。

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ファインダー取り付け部はビクセン製のアリ溝台座です。