星めぐりの道具箱

望遠鏡作り、双眼鏡、惑星撮影など

ファーストライト

明けましておめでとうございます。昨年末のクリスマスには米国のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope)の打ち上げが成功しました。これからサンシールドの展開、口径6.5mの主鏡の展開など複雑な工程が続きますが、どんな新しい発見が成されるのかと想像するとわくわくします。

24インチファーストライト、昨年末までにと思っていましたが、昨日やっと無風の快晴に恵まれました。ここまでは良かったのですが、星像はヒョウタン形に歪んでいて他にも問題が続出です。

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ファーストライトは木星

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組立てた状態で初めて主鏡カバーを外しました。

 

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接眼部の反対側には遮光と光軸出しのために仮の遮光板を取り付けました。

 

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主鏡運搬箱はミラーボックスの裏側から4隅をつまみ(ねじ)で固定しました。

 

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高度軸のテフロン板は面積を増やし(36mm×115mm 4箇所)ました。回転は少し軽くなりました。

 

ファーストライトで問題続出

1.星像がヒョウタン形に歪んでいる。

 とりあえず約130倍のアイピースを使いました。ファインダーがないので明るい木星の導入にもひと苦労。焦点位置はほぼ合っています。ありゃ、りゃ、ファーストライトの木星、縞が数本見えますがぶれたように2重に見えます。4隅に設けた抜け止めが主鏡を圧迫?

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下側2カ所には発泡ゴム板でワイヤーケーブルの抜け止めを設けたのですがこれが影響?、副鏡の裏側の綿の詰めすぎ?、いろいろ考えられますが主鏡支持構造から確認と思います。18インチドブソ二アンではナイロンベルトで主鏡を吊りましたがファーストライトは順調でした。24インチの主鏡は41mm厚でかなり薄いので圧迫の影響が出やすい?、ミラーボックスに主鏡運搬箱を組み込む構造にしましたがこれが問題となると大きな構造変更が必要かもしれません。

2.光軸ずれと副鏡の振動

 姿勢差による光軸ずれの確認をレーザーコリメーターで行いました。

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始めに20°ほどの低い姿勢でレーザーのスポットを主鏡センターに合わせ鏡筒を天頂近くに向けると数ミリずれてきます。副鏡がスパイダーに対して片持ち構造なので構造上と思いますが大きすぎます。羽根の厚さ0.3mmは薄すぎたようです。反対側にカウンターウエイトを設ける案もありますが現実的ではありません。AstroSystems社のホームページには短径5インチ斜鏡用の羽根は厚さ0.048"(約1.2mm)とありかなり厚くなっています。もうひとつは振動です。こちらも予想されたことですが光軸回りの振動が出やすくなかなか収まりません。残念ですが羽根を厚くする必要がありそうです。

3.回転の重さ

 高度軸、方位軸廻りの回転の重さ、実用できますがもう少し軽くしたい。

4.スペース

 これが一番大きな問題。実際に形になると、小さな我が家のベランダには大きさがものすごい。組立て分解も大変、観測室が必要な大きさです。

副鏡の面精度

11月11日に書いたAntares Optics製の副鏡の記事に載せたZygo干渉計による測定データですが、Surface/Wavefrontとあり面精度の値なのか、透過波面精度の値なのかが気になっていました。その後友人の詳しい方に教えてもらったのですが、反射鏡の測定の場合には波面誤差が2倍出ることを避け面精度を直接表示するために、Scale Facterを0.5にするとのことです。測定データのScale Facterは0.5となっているので副鏡の面精度はλ/20のようです。望遠鏡に組み立てた際の透過波面精度としては45°傾けて設置されるので√2倍に伸びて√2×λ/20=λ/14.1 になり、さらにZygo干渉計では632.8nmの波長で使われることが多いので可視光(明所視)の中心波長555nmに換算するとλ/14.1は632.8/555×λ/14.1→λ/12.4になりそうです。十分な精度だと思います。

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全体の仮組み立て

今朝は全体を仮組みして動きやバランスを確認しました。ベランダで行いましたがやはり大きい。はみ出してしまいそう。

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主鏡運搬箱の組み込みですが重いのでとりあえずレール代わりの木材を左右に敷いてその上に載せ、スライドさせて組み立てました。もう少し作業がスムースにできるように改善したいです。

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主鏡を載せた後にトラス下枠を載せました。

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トラス支柱を組み立てた後、上トラス枠を載せました。やはり踏み台が必要になります。

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ついに組みあがりました。大きいのでカメラの視界からはみ出ました。高度軸周りのバランスは摩擦が大きいためもあるのかもしれませんが問題はありません。気になっていた回転の重さに関して、方位軸は良い感じですが、高度軸は少し重いです。方位軸に比べると荷重に対するテフロン板の面積はかなり小さいのでテフロン板の面積を増やして試してみたいです。

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今朝は冬晴れで富士山がきれいです。

 

副鏡の組み込み

昨日副鏡をホルダーに組み込みました。ホルダーはAstroSystems社から購入した短径5インチ(127mm)用のものです。発泡樹脂のサポート材とfiber fill(綿)を詰めて副鏡を保持します。

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ベースの素材は樹脂製ですがねじ部には黄銅のインサートが設けてあります。下側の溝はヒーターを使う場合にケーブルを通すためと思います。

 

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ホルダーはアルミ板製で内側全周に厚さ2mmの抜け止めが設けらています。傷防止のために抜け止めの内側には120°間隔で3か所に2mm×30mmのフェルトを貼りました。この際に素手で作業したのがいけなかったようでフェルトの当たった鏡の周辺に汚れがついてしまいました。フェルトを含めてきれいに拭いてから組み込みをやり直しました。

 

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サポート材は両面テープで固定しました。

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綿の詰め加減は鏡がガタつかない程度に詰めて様子をみます。

 

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組み込み完了。副鏡の短径は127mmでしたが、ホルダーに組み込んだので抜け止めの厚さ分が小さくなりました。有効な短径は実測122.5mmです。少し大きめの副鏡にしておいてよかったです。

主鏡運搬箱

最近8年前から使っていたパソコンが壊れデータ移行や設定に手間取り時間が経ってしまいました。主鏡運搬箱の記事は6月に書いていますが、昨日やっと主鏡を組み込みました。f:id:doortosky:20211210155155j:plain

中空ポリカーボネート構造板(厚さ4mm)で上下のカバーを作りましたが夫々重さが500gになり合わせて1kgです。側面の窓も同じポリカーボネイト板で塞ぎました。上カバーはプラスチックのアングル材で挟みスライド構造にしました。下側もスライド式にしたかったのですが厚さが増すのでマジック(ファスナー)テープで固定しました。取っ手はアルミの平角パイプ材から作っていますが主鏡を入れた状態で持ち上げてみると少し指に痛く何かを巻こうと思います。

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主鏡側面の支持はΦ3mmのステンレス製ワイヤーケーブルです。当たりを柔らかくするために透明樹脂のチューブを被せました。上側2カ所には位置決めの部品(フェルト付きアジャスター)を取り付けました。主鏡の左右の振れ止めはまだ設けていませんが必要かもしれません。

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主鏡の抜け止め。面取り部分に当たります。当たり面に黒色のフェルトを貼っています。

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23kgの主鏡を入れるのは持ち上げるだけで大変でした。鏡面に埃がつかないようにカバーを載せています。

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主鏡を裏側から見ています。裏面はきれいに研磨されています。
主鏡運搬箱の重さですが、上下のポリカ製の蓋が1kgとなり全体で3.81kgになりました。目標は3kg以下でしたが難しかったです。主鏡を入れた状態では約27kgとなりました。

 

 

接眼部の取り付け

18インチドブソニアンの接眼部にはStarlight Instruments社の2インチフェザータッチフォーカサー( 作動範囲1.5インチ)を選びました。他の候補も考えましたが24インチにはこれがベストと思い予算の節約のため18インチから取り外して使用することにしました。18インチはしばらく使えません。

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18インチの接眼部

 

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取り外したフォーカサー(左側のノブは使っている間に退色)

 

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フラットベース

 

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取り付けた接眼部、上トラス枠の副鏡ケージ接続のための部品が接眼部を真横に配置するとフォーカサーの合焦つまみと干渉するので副鏡ケージを少し斜め上に回して配置してみました。合焦つまみの位置を90°回す配置も考えられます。

高度軸の回転制限

高度軸は70°間隔に配置したテフロン板で負荷を支持しますが回転の際に側面方向の動きも制限することにしました。高度角についても鏡の保持方法の都合があり制限します。

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8mm厚のテフロン板を加工して制限板を作りました。高度軸の側面方向の動きと回転角度を制限します。

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ロッカーボックスの4か所に取り付けました。

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ミラーボックスに設けたストッパーが制限板に当たり高度軸の回転角度を制限します。高度軸の回転角度は1°~89°にする予定です。1°側のストッパーは高度軸の内側に設けます。

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制限のテフロン板は高度軸の内側に当たり高度軸の側面方向の動きを制限します。

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ミラーボックスと高度軸の間に制限版があります。ミラーボックスの外側に取り付ける案もありましたが内側に設けたのですっきりした外観になりました。